非日常の恋人

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柊はぼーっとする頭のまま、太一の寝顔を見つめた。 パーマが取れかけてうねった髪、長い睫毛、すっと通った鼻、程良く突き出た顎。 太一は色男という言葉がよく似合った。 普段は本人の意図せずして危うげな魅力を放っている太一も、寝ている時は無防備で子どものように可愛らしかった。 30歳を過ぎると男の人はマイルドになる、と柊はつくづく思う。 変に格好を付けて生きるのをやめ、それまでの作られた魅力は体の内側から出る自然体の魅力へと変化していき、だんだんと色気を帯び始める。 柊は20代の頃の太一のことは知らなかったが、今の太一にはそうした30代男性特有の色っぽさがあるように思えた。
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