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ラグビー部にゲイが多いというのは本当か
アメフト部やラグビー部にゲイが多いという話をよく聞くが、はたして本当にそうなのだろうか。
偏見なのかもしれないし、調べたら実際そうなのかもしれないし、真実はわからない。
昔から気になってしょうがなかった。私が腐女子になるもっとずっと前から疑問に思っていたことの一つだ。(腐女子になったのはわりと最近)
ネットで調べれば、誰かがアンケートなどを用いて集計してくれているかもしれないし、信憑性のある記事もあるかもしれない。
しかしそうではない。私は実際に関係者に話を聞いてみたいのだ。
とはいっても学生時代含めてもアメフト部の友達はいないし、ラグビー部の知り合いはいるがそういう話ができるほど仲のいい人はいない……と思い続けてどれくらい経っただろう。数年、十数年、二十年、それ以上?
ようやく降ってきたようにチャンスは訪れた。短期間ではあったが、仕事でラグビー経験者と一緒になることがあったのだ。彼は小学校から大学までラグビー部、社会人ラグビーも最近までしていたという根っからラガーマン。
一緒に仕事をするようになって二日目、私はさっそく切り出した。二日目なのでまだそれほど会話もないし、仲良くもなっていなかったが、いつ彼が他所に移動になるかわからなかったので、早々と本題に入ることにした。
「仕事に全く関係ない話なんだけどさ」
「はい、何ですか」
「ラグビー部ってゲイが多いってほんと?」
「あぁー……」
彼は少し何かを考えているようだった。
(ヤバい、単刀直入すぎたか)
と思ったが、違った。彼から返ってきた答えは意外なものだった。
「ラグビー部より、バレー部とかテニス部ですね」
「バレー部!?」
バレー部は何かわかる(偏見)。でもテニスも?テニスもですか?
「え、何で?何でわかるの?噂?」
「そうっすね、けっこうよく聞きます」
「ふぇー」
思わず変な相槌を打ってしまう。
「ラグビー部はあんま聞かないですね。まあ、たいていみんな隠すんで気がついてないだけかもしれませんが」
「そうだよねぇ」
隠す……知られたくない人も多いのかもしれない。現に私も人生において一人しか出会ったことがない。(高校のころの同級生だが、いつか書く機会があればそのことについて書きたいと思う)
レズビアンにいたっては一度も出会ったことがない。女の子に告白された経験もない。そらそうだ、誰にでも好みはある。
このラグビー部のゲイ事情の話題に興味がありすぎたが、一度に根堀り葉掘り聞くのもどうかと思い、何日かにわけてじっくりと話を聞いた。(結局、根掘り葉掘り聞いた)
「ラグビーやっててゲイだって人には、一人しか会ったことないです」
「うんうん」
「小学生からラグビーを一緒にやってた幼なじみがいるんですけど、二十歳のときに好きだって告白されましたね。ラグビーで会ったことのあるゲイはそいつだけです」
「へぇ~!」
(って、おーい、幼なじみからの告白きたぁー!!!!!)
ドラマかマンガなみの神展開、神シチュに内心カーニバル、頭の中では阿波踊りが始まっていたが、大騒ぎするわけにもいかず、少し声は大きくなったが落ち着いた返事をした。(私の声は低くて落ち着いているので、ちょっとやそっとじゃカーニバル感は伝わらないと思う)
「でもやっぱ、みんな隠すから何とも言えないですけどね」
「その幼なじみとは今でも連絡取るの?」
「たまに連絡きますよ。そいつ今ドラァグクイーンしてるんで、見に来いって。わかります?ドラァグクイーン」
「うん、わかるよ!」
(ドラァグクイーン!三浦春馬くんがキンキーブーツで演じたあのドラァグクイーンだな?あのドラァグクイーンなんだな!?大事なことなので二度言った)
ドラァグクイーン=三浦春馬ではないことは重々承知しているのだが、最近春馬くんの動画を見まくっていたせいでどうしてもつながってしまう。
こんな身近で神展開とドラァグクイーンに出会ってしまったので、彼と仕事している間は不自然ではない程度にその話ばかりしていた。(その時点ですでに不自然)
ちなみに会社の人の誰にも私が腐女子であることは伝えていないが、全く隠しているつもりはない。聞かれればそう答えるし恥ずかしくもない。
最初は彼にも腐女子だと伝えてもっと詳しく情報収集しようと思ったのだが、腐女子だと伝えなくても聞いたことには何でも答えてくれるので、その必要はないと判断した。さすが体育会系男子。素直なラガーマンだ。
幼なじみのショーがあるときは教えてくれると約束までしてくれた。
しかし、こうも付け加えられる。
「ちょっと女が冷やかしに来ないでよぉ、バカにしてんのぉ!?男は?ゲイの男は?ノンケ?ノンケな男じゃなくてゲイの男連れて来なさいよぉ~!!ってかなり非難されると思うので、最低、男友達連れて行って下さいね、できればゲイの」
ゲイの道は険しい。
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