未だにこういう人がいるんだな、と昔のことを思い出す

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未だにこういう人がいるんだな、と昔のことを思い出す

 高校生のとき、家庭科の先生が雑談でこう話した。 「スーパーとかのレジでさ、お釣り返すときにギュッと握ってくる人がたまにいるでしょ?あれイヤじゃない?やめてほしいよねー」  時代のせいもあるのかな、今じゃ考えられない。コロナ禍だったら余計に……と思っていたのだが、今日出会ってしまった。  年齢不詳のおばさま。同世代かもしれないし、ちょっと上かもしれない。下もありうる。そんなわけで年齢不詳。マスクでわかりづらい。  夜にドラッグストアに立ち寄った。その会計時、彼女は確かに、お釣りを受け取った私の左手を優しく包み込んだ。ギュッというほど力強くはないが、触れたというにはあまりにしっかりした触り方だった。  その瞬間私は、イヤだな、みたいな感情は皆無で、冷たくなかったかな、大丈夫かな、と思った。外が雨なせいもあり、冷え性な私の手がかなり冷たくなっていたのだ。   今回みたいなときもそうだし、たまたま触れてしまったときもそうだし、がっつり握手会に参加したときも同じことを思う。とにかく私の手は冷たいのだ。握手会なんか緊張もあるので、冷え込みかたがマックスだと思う苦笑。  さて話を元に戻そう。彼女には全く悪気がなさそうであった。接客も悪くない。むしろよかった。だが、コロナ禍が明けたといっても、まだまだマスクも手放せない日常の中、手袋もしていない手で私の手を触った。たぶん色々な人の手を触った手で。  同性なせいか、何度思い出してもイヤではなかった。手は除菌したり、洗ったりすればよい。そうはいっても彼女がおっさんだったなら、と思うとゾゾッとした。殺意を抱いていたかもしれない(それは言いすぎか笑)。  このご時世でも彼女みたいな人がいるんだな、という発見だった。きっとこの女性だけではなく、日本中未だに存在しているのだろう。  ちなみに夫に尋ねてみたところ、 「若い女の子なら全員手を握ってほしい」 との返答が返ってきた。知らんがな笑。
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