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絶対におかしい
僕は目の前の女性を見つめる、ダイニングテーブルを挟んで真正面に長い黒髪をくるりと後ろで巻きさらっりとヘアゴムでお団子を作った美しい女性が微笑んでいる。
「どうしたの、悠也さん?」
僕、中村悠也は最近付き合い始めた彼女、綿貫楓と日曜日の昼に僕のアパートで食事をとっていた。
「もしかしてトマト苦手だった?」
彼女は少し不安そうにそう言った。
「イヤ、好きだよトマト」
僕は彼女がさらりと作ってくれたトマトの冷製パスタをフォークでくるくると巻き食べる。
程よい酸味が夏の暑さで減退した食欲を回復させてくれる。
「よかった、最初はそーめんにしようかな?って思ったんだけど、ほら、そーめんって意外と薬味に手間がかかるでしょ」
彼女はそう言って笑い、箸を器用に使いパスタを少量ずつ口へと運んだ。
この話のどこがおかしいかって?
おかしいだろ!日曜日の昼間っからスゲー美人が僕のアパートでトマトの冷製パスタ作ってんだぞ!!
コレは何かある……
僕は可能性を思案する。
1.彼女は何らかの罰ゲームを受けている。
2.彼女は詐欺師である。
3.彼女は何等かの罪を犯し逃亡中である。
4.彼女はこの世の者では無い(幽霊)。
5.彼女は異世界へと僕を召喚しに来た。
……5.かな?
イヤ違うだろ!異世界ってなんだよ!そもそも可能性を考えるって時に普通に付き合っているが入って無いのはおかしいだろ!!
でもどう考えても変なのだ、お世辞にも僕はイケメンとは言えないし金持ちと言う分けでもない、特段の音楽やスポーツの才能にも恵まれていない、せめて僕がスゲー太ってたりしたらマニアの人かな?って思えるけど僕は何の特徴も無くマニア向けではない。
「どうしたの悠也さん?」
「イヤさー、楓さんはどうして僕なんかに告白したのかなって思って」
そうです、僕は超美人に告白されて思わず「ハイ」って返事をしたお上りさんです。
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彼女の機嫌が少し悪い?
「悠也さん!自分を[なんか]何て言わないで下さい、貴方はとっても素敵な男性です!」
ほらね、絶対おかしいよ、こんな事言ってくれる女性がいる筈が無い!
神様かな?
もしかして僕をあわれんだ神様が彼女、綿貫楓と言う名の天使を遣わしたのかも?
ちゃんと教会にお祈り行かなきゃ
「悠也さん大丈夫?」
「ああ、大丈夫、楓さん今度教会に行こう」
僕達、結婚する事になりました。
コレ絶対おかしいよね
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