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私はなんにも分かってない【雨木はるかの場合】 その3-5
私、いつまでこのままなの?
こんな行動にも移さない淡い恋心を抱いたまま、幾つまで生きる気なんだろう?
さすがに、ヤバくない?
五条さんが結婚したら諦められるとか思ってたけど、それっていつ? もしかしたらしないかもしれないし、でもしないからって見てるだけの私にチャンスが回ってくるなんてご都合展開もないだろう。
どこかで、線引きをしないと、と思った。
「六年ってあっという間でしたね。このままぼーっとしてたら、そのまま四十五十になっちゃうんじゃって」
「あー、実際そうだよ。時間の流れが年々早くなる。ビジョンがなけりゃ、そのまま流される。――――まぁオレも大したビジョンがある訳じゃないが」
「そんなこと……」
全く自信が湧かない。だから、今まで見てるだけだった。五条さんにとって、見た目も中身も平凡な私はそういう対象になりもしない。分かってる。
でも。
自分の中で何度も何度も気持ちを突き詰めた時に、でも、このままじゃ諦められない、と思ったのだ。
何にも行動しないままでは諦められないって。自分に“私は頑張ったでしょ”って言い訳すらできない。
このままでは、引き摺ってしまう。
そのことに気付いて、私は決心したのだ。ダメ元だけれど、何かしら行動は取る。これは、自分の心に対するけじめだ。
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