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分かってない【パパ編】 その1-4
頭がおかしくなりそうだ、と思って、いやもうおかしいのかと考え直す。
悪いことをしている。
こんな若い娘を、娘として育てて来たはずの相手を手籠めにして、分別や理性を投げ捨て、オレは保護者として超えてはいけない一線を超えた。
愛している。間違いようなく香凛を愛している。
けれどそれは他人からは容易に理解されないことだろう。受け入れられないことだろう。
この関係が明るみに出れば、オレはきっと沢山の軽蔑の眼差しを向けられる。
それでも。
最奥目掛けて何度も腰を突き動かす。
香凛はいつでも全身全霊でオレを受け入れるし、求めている。ナカの反応も、零れる嬌声も、普段の生活での会話や微笑み一つにも、好きだという気持ちを惜しげもなく示している。
容赦ない締め付けに、己が煽られているのが分かる。湧き上がる衝動を解放したくなるが、それをぐっと堪える。
まだ、早い。まだ香凛を味わっていたい。
「はうぅ」
すっかり降りてきている子宮の入り口にまるで口付けするようにぐりぐりと何度も切っ先を押し付ける。ビクリビクリと小さな絶頂を立て続けに迎えて、香凛の腰が揺れる。
快感に服従した顔。
未だオレしか見たことのない、その特別な表情。
あぁ、でもまだどこか悩ましげな表情を浮かべている。
「香凛」
「な、に」
吐息の合間に香凛が声を出す。
「足、腰に絡めてみろ」
言ったら、そのまま零れ落ちるんじゃないかと思うくらい大きくその目を見開いた。
「え、やだ、そんなの無理!」
悲鳴じみた声が上がる。
「欲しいだけ引き寄せろ。物足りないって顔してる」
「してないよ!」
自分の顔など見えていないクセに、即答で断言する。してから、目を逸らしてまごまごしながら続けた。
「それにそんなの、は、はしたないし」
「そうか?」
「そうです!」
「別におかしなことじゃないが。普通にするだろ」
「う、嘘だぁ! 上級テクでしょ!」
「普通だと思うがなぁ」
世間の普通など知ったこっちゃないが、さも当然と言わんばかりの様子で返せば、分かりやすくその顔に逡巡が浮かんだ。
香凛の初めての相手はオレだ。加えて、あまり耳年増な友人もいないらしい。
だから香凛にはこういうことに関してあまり深い知識はない。
いや、なくていいのだ。香凛が健全な情報だけですくすく育ってきてくれたことに、こんな関係になってからオレは密かに安堵した。
そして、深い知識がないからこそ、香凛には基準にすべきものがない。オレがすることが全てになる。
もちろん時折こんなの絶対普通じゃないと噛み付かれることもあるが、基本的に香凛はオレのすることが大体世間の常識なのだろうと理解している節がある。
特別おかしなことを教えているつもりはない。ないが、少々濃度が濃いことは認める。
けどそれもこの先香凛がオレ以外を知らなければ、特に問題になることもないだろうと思う。
この先、が当たり前のようにあるかは分からないが。
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