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翌日。
「ほんっとごめんなさい。私ったら、一人暮らしの女性のお宅に子供向けの英語教材を売りにくるなんて。ほんとバカバカ」
ポカポカと自分の頭を叩きまくるアラフォーの女性。重黒いショルダーバッグに地味なスーツのさえない姿。バカを2回も繰り返す。
「気にしなくていいのよ。真面目ながんばり屋さんなのね。実は、あなたと同じぐらいのひとり娘がいてねえ」
「へぇ、そうなんですか」
「暑い中、本当にお仕事ごくろうさま。エアコン壊れててごめんなさいね。喉が渇いたでしょ?」
「あ、ありがとうございます。実はさっきから喉がカラカラで」
にこやかに500mLのペットボトルを差し出す老婆。
「ほんとにありがとう、おばあちゃんっ」
「うふふ、さあどうぞ。これは『幸福の水』といってね。毎日のように幸福がこの家に転がり込んでくるの」
ご自宅でできる簡単なお仕事です。
<了>
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