はじめての婚外活動

1/2
前へ
/18ページ
次へ

はじめての婚外活動

会ってすることは、相手の近況リサーチだ。仕事、夫婦仲、子どもの年齢や性別などを聞きだす。 夫婦仲が悪ければ可能性がある、という単純な話ではない。 会って相手が「その後」を期待しているかわかるまで、婚外の話題などを出して拒否反応を示すかどうか、興味を持っているかどうか、金銭的時間的余裕があるかどうか少しずつ様子をうかがう。特にセキュリティ面において、婚外恋愛は金がかかる。ケチるとそこから失敗することも多い。また、浮気の経験値など適度に遊び慣れているかどうかもストレートに聞いておきたい。 男も女も遊び慣れていないと、本気になったりしてやっかいだ。婚外恋愛は、どれだけ楽しくても、ただの遊び。それも、踏み外すと自分たちより周りの人を巻き込んで不幸にしてしまう、たいへん危険な遊びである。 相手を「一緒にいて楽しい、癒される、気持ちいい」と思うことはあっても「本気で好きになる」ことはあってはならない。気持ちをコントロールできるかどうか、よく自問することが必要だ。 その点でも、元カレ・カノは都合がいい。別れて時間が経つといい思い出のみが残りがちだが、別れたからにはそれ相応のイヤなところ、ゆずれないところがあったはずだ。月日が経っても、人はそう変わらない。お互いそれを分かっているからこそ、今は汚いところは見せず、相性の良いところ、おいしい部分だけで上手くつき合うことができ、楽しいわりにのめり込むこともない。 沙織の現在の相手、Bは遊び慣れており、適度に余裕もあり、まさにうってつけだった。一方、そのせいで彼の妻は浮気を疑い、帰宅した夫のスマホを逐一チェックしているという。そこで関係が始まって以降、メッセージはお互い即消しにしている。SNSの「友だち」関係も解消。当然、「いいね!」もしない。痕跡はことごとく消していった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加