苦い経験

1/4
前へ
/18ページ
次へ

苦い経験

相手のAは当時の沙織と同い年で、結婚して一年とちょっと、だと言っていた。沙織にも長くつき合っていた彼氏がいたが、将来の話になるとなかなか話が進まず、関係は終わりかけていた。 沙織の仕事先で出会ったAは実直で真面目、見た目もさえない感じ。派手な彼氏とは正反対の男だった。沙織はそこに惹かれた。 結婚している、誰かのものである、という要素は、本人をより魅力的に見せる。沙織は仕事の打ち上げやら相談やらと称して時間を作り、個人的にAと会って距離を詰めた。決して遊び慣れているとはいえないAは、沙織の誘いに面白いように簡単に吸い寄せられてきた。沙織もそれを愛情と勘違いし、のめり込んでしまった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加