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苦い経験
相手のAは当時の沙織と同い年で、結婚して一年とちょっと、だと言っていた。沙織にも長くつき合っていた彼氏がいたが、将来の話になるとなかなか話が進まず、関係は終わりかけていた。
沙織の仕事先で出会ったAは実直で真面目、見た目もさえない感じ。派手な彼氏とは正反対の男だった。沙織はそこに惹かれた。
結婚している、誰かのものである、という要素は、本人をより魅力的に見せる。沙織は仕事の打ち上げやら相談やらと称して時間を作り、個人的にAと会って距離を詰めた。決して遊び慣れているとはいえないAは、沙織の誘いに面白いように簡単に吸い寄せられてきた。沙織もそれを愛情と勘違いし、のめり込んでしまった。
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