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3回目の食事のあと、沙織とAは身体の関係を持った。
その日、Aは堪えていたものを一気にあふれさせ、沙織に夢中になった。沙織のほうも、思惑通りになった達成感と、女として求められる悦びをもって全身で彼をうけとめた。
週に2度は会い、限られた時間の中でお互いをむさぼり合った。
会えない土日は、沙織の身体はAを想って狂ったようにうずく。連絡はメッセージアプリだったが、土日は決して送信しない約束だった。
沙織は当時、彼氏とはほとんど連絡も取らず、心も身体も完全にAに傾いていた。単調だった仕事も、Aに会う約束があるだけで頑張れるようになった。
何気なく、Aが妻の話をすることがあった。彼の妻は年上で、二人のあいだに子はなく、妻も仕事をして自立していた。
沙織はAの妻に少し妬けることはあっても、奪い取ろうとまでは思わなかった。それが婚外恋愛を楽しむ余裕のように思えて、自分でも気に入っていた。
しかし。
Aに会いたい。Aに抱かれたい。いつも、いつでも、毎日でも。Aの妻が、その妻の座が、妬ましくてたまらない。
沙織のかりそめの余裕とは裏腹に、本能は徐々に生活を侵食していった。
関係が始まって2か月ほど経ったころ、Aの態度が変化した。
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