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ある日曜、沙織はこらえきれずにメッセージを送ってしまった。
「いま、なにしてる?」
しばらくして、Aから返信があった。
「家でテレビ見てるよ」
“家”というワードの奥に、日曜の午後、リビング、ソファ、そして妻の気配を感じとり、沙織の心はかき乱された。
「いいなあ……ねえ、会いたくなっちゃった」
相手が返答に困るメッセージを、わざとかぶせた。今度は数十分経っても既読がつかず、返信が来たのは数時間後だった。
「ごめん、日曜はちょっと」
真面目で不器用、遊び慣れていないAが戸惑うのも、無理はなかった。
沙織もまた、この遊びの負荷に耐えられるほど成熟してはいなかった。
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