五穀三種

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村長の隣で奥さんがくすりおろしで山や畑から採取した薬草をすり潰し、その中に唐辛子や檸檬(れもん)の皮を少しずつ混ぜ合わせていました。 檸檬の皮のほろ苦い香りと薬草の青臭さが混ざった匂いが部屋の中に充満していきます。 すり潰した薬草を小さな(ざる)に移して、その上から水を少しずつ入れて濾し、土を焼いて作った器の中に緑色の液体が溜まっていきます。液体の中にはまだ小さな搾りかすが浮いていました。 奥さんは濾した液体を布を敷いた笊の上に流してもう一度濾しました。それを繰り返すと液体は濁りの無い綺麗な薄い緑色の水になりました。その緑色の液体を白い布に湿らせて、老人の口に軽く噛ませました。
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