五穀三種

3/16
前へ
/16ページ
次へ
口に布がちゃんと挟まっていることを確認した村長は少しずつ老人の顔や口のツボを押し始めました。意識が無い老人でしたが、ぴくぴくと口が少しずつ動き始めました。 「もう少しだな」 村長は少しだけ力を強くしてツボを押しました。すると、老人は口に噛まされた布を吸い始めました。その様子に村長と奥さんは安堵の息を零しました。 「これで大丈夫だ」 村長は後の事を奥さんに任せて、村人たちと共に老人の事について話し合いを行う事にしました。この村は四方を山に囲まれた小さい村。周りにはこの村以外に人が住む里や村はありません。その為、国から忘れ去られているも同然の扱いを受けています。年貢を納める必要が無い代わりに、病気や自然災害等の災いが起こった時も自分達でどうにかするしかないのでした。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加