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「村長! 俺はあの爺さんを置いておくことには反対だ!」
一人の壮年と思われる若い男が声を荒らげました。その声に一同に会する10名程が同意の表情をしました。その理由はやはり、外から齎される病に対する懸念でした。
「しかし、あの男は今は瀕死の状態だ。自分で動ける様になるまでは放り出す訳にはいかない」
村長の言葉は医者としての発言でもあり、力強いものでした。
一同はぐうの音も出ませんでした。驢馬は数頭居るが、大切な移動手段であるし、村から一番近い里迄行くにしても二つの山を超えねばなりません。山を下りた後も2時間以上は歩く必要があり、そんな長い時間を得体の知れない老人を連れて行く者等居りませんでした。
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