だってわたし、おねえさんだから

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 さっちゃん、まだ帰ってこないのかな?  おおきくなったさっちゃんは毎日(まいにち)どこかに。 「ネネちゃん、いってきます」  そういって一人でおでかけしちゃうの。  今まではそれがおとうさんだけだったのに。  さっちゃんが一人でお(そと)になんて。  とってもとっても心配(しんぱい)なのと。  とってもとってもさびしくて。  わたし、毎朝(まいあさ)さけんじゃうの。  だってわたし、おねえさんだから。 「ちゃんと(かえ)ってくるから心配(しんぱい)しないで、ネネちゃん」  おかあさんが()きしめてくれるのはうれしいけれど。  じいっとわたしはさっちゃんが出ていったドアの前にいた。  ずっとずっとさっちゃんを()って、()って、()って。  そうしてパタパタと聞きおぼえのあるかわいい足音が聞こえてきて。  わたしのしっぽがブンブンしちゃうの。  うれしくなって走り回っちゃうの。  わたしの走り回る音に気づいたおかあさんが。 「ネネちゃんは本当にさっちゃんが好きなのね」  おかあさんが、やさしくわたしの頭をなでてくれていると。 「ただいま~!! ネネちゃん、いい子にしてた?」    ニコニコのさっちゃんが帰ってきてわたしの頭をなでる。  そうそう、おかあさん、あのね。  さっちゃんのこと、好きなんかじゃないの。 「わん、わんわんっ!!(大好きなんだよ! 大好きなの!)」  ギュッとわたしを抱きしめるさっちゃんのほっぺたをペロリとなめた。
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