だってわたし、おねえさんだから

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 わたしね、おねえさんになったの。  さっちゃんが生まれた日に。  赤ちゃんってこんなにいい(にお)いがするんだね、おかあさん。 「ネネちゃん、さっちゃんとなかよくしてくれる?」  さっちゃん、さっちゃん、さっちゃん。  かわいい、わたしの(いもうと)。  ねむっている、さっちゃん。  そっと近づいたら、とってもあまくてやさしい(にお)い。  ほっぺたにキスしたら、さっちゃんはくすぐったそうにして。  ちいさな、おめめをあけて。  わたしを見てわらったの。 「さっちゃん、わらってるね! まだ目もあまり見えていないのに。  きっとネネちゃんのことが大好きなのかもしれないね」  おとうさんのお話にわたしはちょっとうれしくなった。  さっちゃん、わたしのこと大好きになってくれるといいな。  だってわたし、さっちゃんのおねえさんだから。  わたし、さっちゃんがもう大好きになちゃったんだもの。
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