ゴブリンの仕返し

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ゴブリンの仕返し

『ヤバ、誰か入って来たで』 『ま、間に合わん、死んだふりや』 ・・・ 『むぐうぅ、あ、足踏みつけよった』 『我慢せい、死んだふりや』 「カエル~♪」 『ま、まずい(つか)まってもうたがな』 『動くなや』 「ほら、リコ。そんな汚い人形拾ってないでお家に帰るよ」 「カエル持って帰ってお人形さんと結婚式して遊ぶ~」 「ダメ。早くポイして帰って晩御飯にしようね」 「わかった。ポイッ」 「今日は何かな?」 「カレーがいい」 「うん、カレーだといいね」 ・・・ 『行ったか?』 『行ったようやな。あーもうほんま腹立つわ』 『まったくや、許せんな。あのガキワシの足踏みつけよったんやで。見てみいやこんなお煎餅みたくなってもうたがな』 『言うに事を欠いてワイの事捕まえて『カエル』言いよったわ』 『いくら小さいからってワシらを舐めるのもいい加減にせいっちゅうもんや』 『まったくや、仕返ししてやらんと気が収まらんわ』 『よっしゃ、今から仕返しに行ったろ』 『はいな』 ・・・ 『それ、何やっとるんや』 『これはな、木っ端をこの玄関先の牛乳瓶の中に入れておくんや』 『なんでやねん』 『この木っ端をなかなか(かた)さなかったらだらしない家やいう事や』 『ワシらが家に入りやすいってことやな』 『誰か来るで、隠れろ』 ・・・ 『ゴミ捨てやな。木っ端を見たのにあのママさん(かた)さなんだな』 『だらしないってことやな。窓の一つも鍵が開いとるかもしれん』 『よっしゃ、行くで』 『はいな』 ・・・ 「わーい、カレーハンバーグだ」 「よかったね」 「おいしいー♪」 「ねぇママ。パパはいつ帰ってくるの?」 「明後日には出張から帰って来るからいい子にしてたらまたお土産買ってきてくれるわよ」 「わーい♪」 「また変なの買ってくるんじゃないの」 「あら、この前の木彫りのうさぎさんも可愛いかったじゃないの」 「ママも変だよ」 「ふふふ、そうかしら。ご飯食べたら早くお風呂に入って宿題やっちゃいなさい」 「今日は生配信の予定で準備しなきゃだからママとリコが先に入ってよ」 ・・・ 『今や! そのスライドのドアに隙間があるうちに飛び込むんや』 『おわっ危なー。よし、ペタペタして湯気の天井に登るで』 「リコちゃん今日は何して遊んでたの?」 「探検してきたー。カエルさん捕まえたらエリお姉ちゃんがダメだって」 「そう。ふふふ。リコちゃんお転婆さんね」 『マ、ママさん上から見ると結構でかいな』 『石鹸でわしゃわしゃすると凄く柔らかそうやな。待っとれよ、今仕返ししたる』 「じゃあお湯をかけて湯船に入りましょう」 「はーい」 「ひゃっ。冷たい!」 『首筋に直撃や。直ぐに端に隠れろ』 『ふう。少し危なかったな。よっしゃ今度はあの大っきな胸めがけて、、、』 「ひゃっ、もう今日はやけに雫が落ちるのね」 「ママも肩までつかれば大丈夫ー♪」 「そうね。温まったら出ましょう」 ・・・ 「みんなー、元気にしてた? エリちゃんチャンネルの始まりだよ」 『おい、あれ何やっとるんや』 『なんやろ、独り言にしては誰かと話してるようで気持ち悪いな』 『まあええわ。この取りたてのGを部屋着の襟元に入れたるわ』 『あっち向いたままやから楽勝やろ』 「今日はおこずかいでリップ買ってきたんだよ。ほら可愛い色でしょ♪」 「えっ? 何? 後ろ後ろって、、、」 『やばい、隠れろ!』 「何もないじゃん、ちょっとー、脅かさないでよ」 『いきなり振り向くとは少し驚いたな。よし行くで』 『はいな』 「えっ! 小人? 何言ってんの。脅かさないでよ」 「もう、何もいないじゃない。また皆私の事からかってばっかり」 『だ、ダメや、くそ。見えとるんか』 『背中に目が付いとる訳やないやろが感が鋭いんやな。しゃーないあの娘探しに行くで』 『わかった』 ・・・ 『やっと部屋が見つかったがな』 『よく眠っとるな。どないする? Gでもパジャマに入れとくか?』 『いや、ダメや。こいつは『捕まえた』とか言って逆に喜びそうや』 『なら糸でしばっておいて起きられんやつやるか?』 『うーんそうやな、、、』 「カエルさん、また遊ぼ!」 『うわっ、と、なんや寝言かいな』 『お、脅かすなや』 『なぁ。なんかこの娘見てたらワシしらけてもうたわ』 『ああ、ワイもや』 『昔はよう近所の悪ガキがぎょうさん来て踏みつぶされんように大変やったが最近はめっきり誰も来んようになったな』 『せやな、ワイらの事は心が綺麗やないと見えんからな』 『最近のガキ共は家ん中で遊んどってワシらのとこなんか遊びには来んからなぁ』 『この娘みたいのんは珍しいのんかもしれんな』 『せやな。ま、まあ今日はこれくらいで勘弁したるか』 『しゃーない勘弁したるわ』 ・・・ 『ようやっと出られたがな。よっしゃ帰ろか』 『ああ、でもまたあの娘来るやろか?』 『あんだけ元気そうに寝てたんやからまた来るやろ。来たらきっちりとイタズラしたるわ』 『そうやな、なんせワイらの事夢でも見てたみたいやしな』 『今度はいつくらいに来るやろか?』 『せやな、あの娘いつくらいにワイらのとこ来てくれるんやろなぁ』
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