帰路

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「ねぇどうする?」 「どうもしねーよ」 「(まさ)はずっとラーメン屋?」 「さあな」 「転職とか起業?」 「わからん」 「じゃあここに一生いるわけ?」 「それは、まぁたぶん」 「ふぅん」  フォーっと缶が鳴る音がした。車もあまり通らないため、小さな音も鮮明に聞こえる。虫の鳴き声だったり、石を踏む音だったり。全てが開放的なこの田舎が俺は大好きだ。だからどこかに行こうとか考えてもいなかった。 「なんだよ」 「私までいなくなっちゃって寂しいだろうなって」 「なわけ」  俺と冬乃以外の同級生3人は高校を卒業すると同時にこの田舎から出て行った。企業に就職が決まったり、夢を追いかけて上京したり。皆が何か目標をもってこの地を離れた。  ここ数年、お盆や正月にすら帰ってこなくなった。だからといってこちらから特に連絡もしなかった。あいつらにはあいつらの生活があるのだ。今更俺から連絡しても反応に困るだけだろう。
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