帰路

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「これからどうなるんだろうね」  同じような話は何回もした。24歳を迎えた2年前あたりから頻繁に口にするようになったのだ。そのたびに、さあ、とか、なるようになるよ、とか言っていたのだが、転勤という出来事でさらに現実味を帯びたらしく、毎日のように言っていた。 「さあな。ま、なるようにしかならないだろ」 「そうだけど、そうだけどさぁ~」  冬乃はあーっと大声を出した。近所に民家がないので迷惑にはならない。普段の柔らかい撫で声でフロントに立っている姿からは想像できない。  お客様アンケートの満足度が異常に高かったり、冬乃に親切にしてもらったためにリピートするお客さんがいる。その功績が認められ、教育係としてもっと大きなホテルでの勤務となったのだ。  併設されてるテナントのラーメン屋で働く俺とは違う。輝かしい未来が待っている冬乃を少し羨ましくもあった。なるようにしかならなかった結果がこれだ。  俺と冬乃には明らかに能力が違うのだ。分野は違うが、仕事上での才能が、冬乃にはあった。俺よりも何歩も先を歩いているのだ。
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