詰問

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詰問

「お前ら、これはどういうことだ?」  4人は黙りこくって返事をしない。 「湯野。お前伊藤さんの首を絞めてたよな?」  生徒を呼ぶときには必ず語尾に「さん」をつけていた吉本が、名前を呼び捨てにした。 「だから何ですか?遊びでやってただけだしなぁ?」  吉本を見下すような視線を投げた後、湯野は他の3人にそう念押しの言葉を投げた。3人は吉本に向かって悪びれもせずに頷いた。 「なるほど、顔が真っ赤になるようなほど、言葉を発することができないほどに腕を痛めつけて、首を締め上げることがお前らは遊びだと言うわけだな?」 「そうですよ」  湯野は涼しげにそう答えた。 「なら先生が今、梶原の首を同じくらいきつくきつく絞めて梶原が顔を真っ赤にして口をパクパクさせてたとしても、先生が遊びでやってるの一言で片付けたら、ずっとその様子を見ているんだな?」 「それは違います。体罰ですから黙ってません」  湯野はそう言いながら首を横に振った。 「湯野。体罰って何だ?ここにいるクラス全員が理解できるようにわかりやすく説明してみろ」 「え?それは勿論、殴ったり蹴ったり暴力を振るって、僕たちに苦痛を与えることじゃないんですか?」  湯野がそう答えたところで、 「そうか」  吉本が一言ボソリとつぶやいた。 「そうですよ。体罰はダメなんですよ」 「話をすり替えるな。お前は今認めたんだぞ。顔が真っ赤になるくらい首を締め上げることは『苦痛を与える行動だ』ってな。お前は自分自身で認めたんだよ。伊藤さんへの行為は苦痛を与える行動で、決して遊びではないっていうことをな」    人を食ったような目つきをしていた湯野は毅然とした態度の吉本に人差し指を突きつけられ、口を真一文字に閉じた。
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