1人が本棚に入れています
本棚に追加
外でいきなり囲まれて一気に言われたら怖くて逃げますが、尾崎さんに押し寄せるのは文字だけ。それなら別に怖くない尾崎さんは、なんと返すのが一番なのかわからず困りました。
いろいろ質問はありましたが、答えるのが恥ずかしいものばかりでしたので、とりあえず答えられる限りでの自己紹介をしました。
<尾崎です。28歳独身です。Dカップです。157㎝です。人が苦手です。でも好きな人が出来ました。コミュニケーション能力をつけたくてSNSはじめました>
正直者の尾崎さん。
ストレートな自己紹介です。
<好きな人がいるんだね!>
<好きな人とどんなことしたい?>
「どんなこと」
考えたこともありませんでした。
尾崎さんの脳裏に咄嗟に過ったのは、いくつも読んだ恋愛物の漫画。
羨ましい、と思ったものを呟くことにしました。
<手をつなぎたいです>
<どんな風に?>
「どんな」
実はちょっと文学を嗜んでいる尾崎さん。
中学、高校と6年間文学部だった尾崎さん。
張り切って、文字を並べました。
<指先を絡めながら体温を交換するように掌を密着させて、お互いの汗をじんわりと感じるほどの熱のこもった愛の象徴のような繋ぎ、をしたいです>
<待ってなんか凄いの来た>
<エロイ>
<この人面白いぞ>
どうやらいい反応のようです。
嬉しくなった尾崎さん、スマホ片手に小さくガッツポーズ。
最初のコメントを投稿しよう!