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唐突だが俺には霊感がある。 そして俺には悲しいことに夭折してしまった可憐な従姉妹がいる。 彼女は毎年お盆に里帰りしてきては俺に一夏の思い出を残し去っていく。 だが生きている以上俺は成長する。いつまでも実家暮らしはしていられない。 憧れの花の都に大志を抱き上京したのである。 特に今年はコロナだなんだとお盆に帰省どころではない。 俺は従姉妹に逢えない夏を過ぎ去った少年時代に重ね合わせ感傷的な気分で引きこもり生活を送るつもりだった。 「なんでこっちに来るんだよ。自分の実家に行けよ」 「私に逢えないと寂しいかなって」 「お前がこの世にいない時点で既に寂しいんだよ。問題はそこじゃねーよ。  おばさんたち今年もお前のこと迎える準備してただろうにそっちは可哀想じゃないのかよ」 「いいかげん子離れしないと」 「親御さんも早世したやつに言われたくなかろうに」 今日の俺は一味違う。 冷蔵庫から秘密兵器を取り出す。 「ほら。茄子の牛作ってやるから乗って帰れ」 ツヤツヤした茄子の腹に雑に割り箸を突き刺す。 彼女はまるでそれが最初からの狙いであったかのように邪悪な笑みを浮かべた。 「わあ。二人乗りだね」
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