1人が本棚に入れています
本棚に追加
再会
テオとシアは山の中の茂みに身を潜めていた。
遠くからいくつもの足音と鎧の金属音を聞こえてきたかと思うと、冒険者たちが走って山を下りていった。
冒険者たちは木々の向こうに見えなくなり、テオとシアは茂みから出る。
何がどうなっているのかわからないという顔でテオはシアを見た。
「一体、何をしたんですか?」
「ゲーム内の公開チャットで、ここの隣の山でドラゴンが出たって言って、救援要請をしたの。今頃、みんな偽情報を信じて隣の山に急いでるよ。さあ、今のうちに早く」
「はい!」
シアに急かされて、テオは山を駆け上がっていく。シアもその後を遅れてついていく。
茂みを抜けると、三年前と同じところにノアは佇んでいた。
「ノア!」
テオはノアに駆け寄った。
ノアは長い首をもたげて、テオを見る。
「ああ、テオ! 三年ぶりだ。少し大きくなったか?」
「ノアこそ大きくなったんじゃない?」
三年前はテオの倍近い背丈があったノアだが、今ではテオの三倍ほどの高さとなっている。
遅れてやってきたシアにノアは気付いて、テオに問いかける。
「彼女は?」
「話せば長くなるんだけど――」
テオはこの世界がゲームの中であることや、自分たちがAIであること、ノアを狙う冒険者たちをシアが一時的に他の場所へ誘導したことを話した。
ノアは驚いたような顔でテオの話を聞いていたが、やがて落ち着き、全て納得したようだった。
ノアは長い首を伸ばして、
「シア、ありがとう。君のおかげで、私は死なずに済んだようだ」
と感謝した。
「いえいえ、そんな。それより、早くここから逃げたほうがいいかも。冒険者たちがいつ帰ってくるかわからないし」
言って、シアは周囲を警戒する。
「そうだな。テオ、私の背中に乗るがいい。帰りに冒険者に会うと危ない。安全なところまで送っていこう」
「うん」
最初のコメントを投稿しよう!