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テオと冒険者
既にあれから三年が経ち、ノアのことはひと夏の思い出となっていた。
日が沈むのが遅くなり、季節は再び夏になろうとしている。
おそらくノアはもうすぐ山にやって来るはずだ。今日来たっておかしくないのかもしれない。
だが、多くの冒険者がドラゴンのことを村人に聞いて回っている。ノアのことがバレたら、ノアは討伐されてしまうかもしれない。
テオも色々な冒険者にドラゴンのことを尋ねられたが、毎度知らないフリをした。ノアのことがバレないことを祈るばかりだ。
夕方になり、農作業の手伝いを終えたテオが自宅に帰る途中のことだった。何人もの冒険者が三年前にノアがいた山へと入っていくのを、テオは見かけた。
まさかを予感して、テオは冒険者を追いかけて山へと入り、彼らを呼び止めた。
「あの、待ってください! こんな山に冒険者さんたちがゾロゾロ入っていくなんてどうしたんですか? この山には何もないですよ?」
冒険者の一人が振り返り、山の奥を指差した。
「さっき、この山に青いドラゴンが飛んでくるのを見たんだ」
青いドラゴン。きっとノアだ。このタイミングで山に来るなんて、間が悪すぎる。
テオはなんとか冒険者たちとノアを会わせない方法はないかと考える。
だが、答えが出る前に、別の冒険者の男がテオに近付いてきて、テオをまじまじと眺めた。
「お前は××か? ふーん、細かい仕草が普通の奴とは違うな」
男の声はしっかりと聞き取れたはずなのに、テオの頭の中にノイズが走って、一部の単語を理解することができなかった。
男は剣を抜き、その切っ先をテオへと向けた。
「××は死ぬときはどんな反応をするんだ? なあ、お前、今どんな気持ちだ?」
「な、何するんですか。やめてくださいよ」
テオは驚いて後ずさった。
だが、男は剣を振りかぶり、テオの左腕に向けて振り下ろす。
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