プロローグ(導入)

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プロローグ(導入)

 クララが死んだ。    彼女はたくさんの人形たちに囲まれて、まるで眠っているようだった。  今日は彼女の14歳の誕生日のはずだった。  そのパーティのために集められた5人のクラスメイトたちは、目前に拡がる非日常的な光景に、誰もが茫然としていた。  「クララさん!眼を覚まして下さい!」  人形の山をかき分け、コトリは彼女の死体に近づこうとした。  「だめよ、コトリ。警察が来るまでは、現場を保存しなくちゃ!」  冷静に言い放つネネだったが、その顔色は蒼白だった。  「どうして・・今日はクララちゃんの誕生日なんだよ・・?どうしてそんな日にクララちゃんは・・」  アイカのすすり泣く声が聴こえた。    ユキノは少し迷ってから、そっとハンカチを差し出した。 「涙、拭きなよ。泣いてる暇があったら、探そうよ、犯人。それがクララのためでしょ。」  クララの胸に深々と刺さったナイフ。  それが示すもの。  「殺人事件に遭遇するなんて・・なんの冗談よ。そして、状況からして私たち5人の中に確実に犯人がいるって事よね。」 眼鏡の位置を直すと、警戒心をあらわにした眼で、チトセは他の面々を見回した。
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