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「結局、昨日の雪は積もったんだねぇ」
ギルバートが仔猫の視線を追って外を見、呟きます。
「風邪ひいちゃう前に見つけられてよかった。昨日は本当は、昼のうちに店仕舞いにしておくはずだったから」
うっかり閉めるのを忘れて、お客さんきてたらどうしよっかって店に行ったら君がいた。ほんと、運が良かった。
ギルバートは悪戯っぽく笑って、仔猫を椅子の上に下ろします。
仔猫が外を見るのも、何か言いたげにするのも、止めることはありません。
約束通り、仔猫が思うままにできるよう。出て行ってしまうなら、笑って見送れるよう。
だけど、もしまだここにいるのなら。
仔猫には少しでも何かしてあげられるよう、ギルバートは考えながら、仔猫の前の席に着きます。
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