♦︎♦︎ 冬の夜、仔猫と神さま

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    くぅ、……。 仔猫のお腹から、小さく音が鳴りました。 仔猫は昨日から何も…ひとかけらのパンですらも、口にできていません。 まだ暖かい頃は、夜でも外にいる人が多くて、ときどきやさしいおじいさんやおばあさんが食べ物を分けてくれました。 でも、この町の冬は寒く、夜に好んで路地を歩く人はいません。 そして仔猫には、この時期でも人通りの多い大きな道の方へ行けない理由がありました。 くぅ〜…。 お腹がせつないような、ちょっとくるしいような感覚がして、仔猫はへたりと耳を垂らします。 かじかんだ手でお腹を撫でてみても、ちっともお腹は膨れません。 小さなため息、ひとつ。 気がつけば止まっていた足を動かし、寝ている間に雪がかからない、 それで、ちょっとでもあたたかいところを探して、仔猫は暗くてさむい、路地を進みます。      
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