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「……今日は俺以外とメールしてないんだね」
「あー……、だってする必要なかったし」
「そう……はい、ありがとう」
何故か満面の笑みの幼なじみ、すぐにスマホを返してきた。
「……ん?その花束、どうしたの?」
視線が俺の左手に注がれる。
俺が立てた作戦のために買った、綺麗な花束。
「……途中で花屋見かけて、買ってきた。お前、花好きだっただろ?」
近づいて花束を手渡す。
「うん。ありがとう」
目を輝かせて花束を見つめる幼なじみは、とてもさっきまで鋭い目付きでスマホを睨んでた人と同一人物だとは信じ難い。
……よし、ここからが本番。
俺が今日花束を買ってきたのは、花好きなこいつの機嫌をとるためだった。
そして、頼みたかったこと。
『スマホのチェックをやめてほしい。』
流石に、俺が外に出る度にするものでは無いと思う。
友達同士のノリだったらまだ許せたが、こいつの表情を見る限りとてもノリだとは思えなかった。
俺にだってプライバシーはある。
や、見られて困るものとかはないけど、流石に気になる。
チェックが始まって結構経つけど、理由を聞いても教えてくれなくて未だに目的が謎だし。
たまに、メールや電話の履歴見るだけじゃなくてゲーム画面も開いたりする。
この前にうっかり「チェックとかそろそろやめろよ」と、口に出して言ったことがある。
その時のあいつの表情を、俺は忘れることはないだろう。
綺麗な顔の幼なじみ、それが歪んだときの怖さはもう身に染みてわかったから。
覚悟を決めて、口を開く。
「……あの、さ」
「あぁっ、そういえば、見てもらいたいものがあるんだよ!!」
俺の声を遮って、幼なじみはぱちんと手を叩いた。
言うタイミングを失ってしまった俺は、内心項垂れながらも、「なに?」と返す。
「俺、ある発明をしたんだけど。これ」
机に置かれていた機械のようなものを手に取り俺に見せてきた。
「なに、これ」
なんか機械機械してて文系の俺には理解不能な物体。ところどころランプみたいなのがカラフルに光っていた。
「これはね、時間を巻き戻せる機械なんだ」
「……は?」
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