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3.
すぐにしまったほうがいいかもしれないね。
そう言って、保健室の先生は最後にロリエの試供品をみんなに配った。二個いりの。
視聴覚教室から自分のクラスに戻るまでのあいだ、あたしは無言で歩きつづけた。ほかの女子もみんな、そうだった。
いろんなことを教えられて、わけがわからない。
女の子のからだのしくみ。
男の子のからだのしくみ。
もう少しからだが大きくなってくると、女の子には月に一度、生理というものがあること。あのティッシュのようなものは、そのために使うものだということ。
生理がきたら、赤ちゃんの産める準備ができているということ。からだが、大人になったということ。
あたしは小学四年生。
将来は好きなひとと結婚して、そのひとのために料理をつくったり、お掃除や洗濯をしたりして、楽しく暮らしたいと思っていた。赤ちゃんができたら、やさしいお母さんになりたいと思っていた。いまもそう思ってる。
でもちょっと。
頭のなかがこんがらがっている。ちょっと困ってる。
すんなり大人になれるものだと思っていたけれど、そうでもないみたいだ。
赤ちゃんも簡単にできるものだと思っていたけれど、そうでもないみたい。
そのうちあたしが大人になって、生理がはじまるのもショックだけれど。
それよりなにより一番ショックだったのは。
どうやってあたしが生まれたのか。本当のことがわかってしまったことだ。
おとうさんとおかあさんて、気持ち悪い。
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