Side C

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数日前、高校の同じクラスだった子とばったり会って、奈津美の話になった。 「水上さんって、奈津美と同じN大だよね?」 「うん、そうだよ」 「奈津美がN大なんて、びっくりしちゃったもん」 「え、そうなの?」 「N大は点数足りないから無理、って言ってたのに。願書出す直前に変えてさ。それで受かってさ。すごいよね」 奈津美は私に合わせて志望校を変えたのだ。 そして今日、奈津美が、私に彼がいると嘘を言ってることを知った。 佐久間君にわざわざ言うのは、私が佐久間君のことを好きだと知ってるからだ。 私の視線を追っているうちに気づいたのかもしれない。 だから岡本君のことも…… 全ては偶然じゃなく、奈津美の意図で起こっている。 理由は分からないが、私の好きなものを自分のものにしようとしている。 怒りと恐怖という、混ざりあわなさそうな二つの感情が、私の中でうごめく。 でも、奈津美の私に対する異常な執着をどうやったら振り切れるのだろうか? 私が奈津美を嫌いだって言ったら終わる? 正解が分からない…… 突然スマホがバイブして、体がビクッとする。 スマホの画面を見る。奈津美からだ。 私が出ないかぎりずっと振動し続ける、と思った。 楽しい夏の思い出になるはずの旅行が、こんなことになるなんて。 私は覚悟を決めて電話に出た。 完
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