Side A

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Side A

真夏の真っ昼間、俺はスーパーで買い込んだ食料品の入った大きなビニール袋を両手に持ち、炎天下の登り坂を歩いていた。 顔から汗が滴り落ちる。でも、汗を拭こうにも両手がふさがっている。たまに目に汗が入り、それがすごくしみて嫌だったけど、拭いてもキリがなさそうなので我慢することにした。 「やっぱり私も持とうか?それともどこか座る場所探す?」 俺の左隣を歩いていた水上さんが、申し訳なさそうに聞いてきた。 切れ長の、キレイな二重の彼女の目が心配そうに俺を見ている。 水上さんも汗をかいているのに、なぜか彼女は涼し気に見えた。 水上さんの両手は棒の氷アイスでふさがっている。右手には俺のスイカ味のアイス、左手には水上さんのパイン味のアイス。 大学での物静かな彼女の雰囲気とのギャップに思わず顔が綻ぶ。 「あいつら待ってるし、いいよ、歩きながらで。ほら、水上さんに食べさせてもらえるし」 冗談ぽく言ったつもりだったけど、はにかむ水上さんの初めて見る表情に俺はドキッとした。
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