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思わぬ告白だったけど、奈津美と一緒に話をするのは楽しいし、好きと言われて嬉しかった。
好きな人を諦めたばかりのくせに、好きと言われたからとほいほいと付き合うなんて、自分でも調子が良すぎるかなと思ったけど……水上さんへの気持ちに区切りをつけるためにもいいかと思い、付き合うことにした。
失恋の傷を癒すには新しい恋だって言うし。
それを証明するかのように、今、水上さんと二人きりでドキッとする瞬間はあっても、頭は奈津美のことでいっぱいだった。
付き合うことになって、今日が初めてのお出かけだ。今夜みんなで花火をする予定だが、途中こっそり二人で抜け出そう、と話をしている。
抜け出したその後はきっと……実は奈津美が初めての彼女で、今からすでにめちゃめちゃ緊張している。ほんと、水上さんにドキドキしている場合じゃない。
「あっ、佐久間君のアイス、たれてきちゃった」
見ると、水上さんの右手にある俺のアイスが溶けてポタポタと地面にたれている。
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