カフェでひととき

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カフェでひととき

 夏休み一週目の水曜日。その日は妹が友達と学校のプールに遊びに行く日だった。  わたしは朝からお弁当を用意して、洗濯、掃除を済ませるだけだ。妹が出かけている日はわたしも出かけやすい。  ラジオ体操から帰ってきて一息つくと、ビニールバッグに水着やゴーグルなんかを詰め込んで、元気よく出ていく。その背中を見送って、出かける準備をする。  ベージュのTシャツワンピースを着て、髪を後ろでゆるく結ぶ。  初めて顔を合わせるのだから少しきちんとし方が良いかもしれないと思いもしたけれど、なんせ今日は晴天で暑い。薄くメイクをして誤魔化すことにする。  小さくロゴの入った黒いキャップを被って、準備は万端だ。  小さめのリュックの中には財布、ハンカチ、ポケットティッシュ、絆創膏や常備薬が入ったポーチと、念のための小さなソーイングセット。忘れ物はない。 「お姉ちゃん、もう起きた方がいいんじゃない? わたし出かけるからね」  昼から出勤予定の姉に声をかける。寝ていた姉は長い髪をワシワシと邪魔そうにかき上げながら、「なに、デート?」と寝ぼけた声を出す。 「デートじゃない! 女の子相手!」 「なんだ……化粧してるからデートかと思った。ちょっと待って、これ貸したげる」 「ベルト?」 「腰に巻いたら可愛いから」 「え、ありがとう」 「じゃ、気をつけていってらっしゃい」  二度寝しそうな空気の姉を心配しつつ、見送られて家を出る。  わたしはこれから、さきに会う。
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