健康状態

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夜弥はノックをせず扉を開け、ズカズカと中に入っていった。 僕をベッドの上に下ろし、机のパソコンと睨めっこしていた医者に話しかけた。 「また、そんなに眉間に皺を寄せていると老けますよ。朱雨」 「ああ?誰だ……って夜弥か」 「扉が開いた音にも気づかないなんてどれだけですか」 「しょうがねぇだろ。こんな病気見た事ねぇし」 「瑠斗様の前ですよ」 「あ、悪ぃ」 「いえ、気にしないでください」 こちらを見て少し驚いた様子だった。 呼び出したのはそっちの方なのだから驚かなくてもいいのでは……。 「で、まずは何を話せばいい?」 「原因不明の病気ということも余命宣告も言われましたし、病気の症状を教えていただきたいです」 僕がそう言うと、2人は驚いた顔をした。 「……死ぬのが怖くねぇのか?」 恐る恐ると言った感じに夜弥に朱雨と呼ばれた医者は訊ねる。 「正直怖いですよ。でも…記憶がないですし、短い人生なんですから楽しく生きないと」 「そうか」 「瑠斗様……」 夜弥は悲しそうに目を伏せ、握りこぶしを作る。 その上に手を乗せ、大丈夫と声をかける。 「大丈夫。怖いけどクヨクヨしたって始まらない。そうでしょ?夜弥」 「………はい」 夜弥も決心したのか朱雨先生の方を向いた。 「今の状態はそう悪くわない。急に咳や目眩がする程度で薬を飲めばその症状も収まる」 「よかった」 「だが、」 と、朱雨先生が前置きした。 「吐息のような症状が見られるから決して空気が汚れていそうな所やホコリっぽいところに行かないこと。それとストレスに注意する事だ。あとは過度な運動を控えれば今のところ安心だ」 むぅ。 運動はダメなのか。
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