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なんと害悪な転入生だ。
僕を突き落とし、あまつさえ病気にさせるとは。
1発ぶん殴っておきたいところだ。
そんな闘志を燃やしていると、名前を呼ばれた。
「余命宣告を受けたんだってな……」
「準夜さん、その話は」
「夜弥、大丈夫だって」
考え込んでいる間に夜弥が準夜さんに話したのだろう。
「残り少ない命はめいいっぱい楽しみなさい。僕も仕事の合間を縫って、色んなことをしてあげよう」
「ありがとうございます、準夜さん」
「う、その呼び名は嫌だな。パパと呼んでくれないか?」
「うっ、さすがにちょっと…。ならお父さんと呼ばせてもらいますね」
「ああ。タメ語でもいいが今はしょうがないか」
「……すみません」
「少しずつ思い出して行けばいいよ」
「……はい、お父さん」
「ぐはっ!」
「え、大丈夫ですか?」
「いや、なんでもない。嬉しくてつい」
--ピリリリリ
そんな中、着信音が聞こえた。
「──どうした。」
準夜さん改め、お父さんは電話に出た。
「大変なんですぅ!あのモジャが部屋から逃げ出して──!」
「本当か?すぐ行く!」
相手は大きな声でそう告げた。
「……すまないな、瑠斗。夜弥、あとは頼むぞ」
「承知致しました」
「行ってらっしゃい、お父さん」
「……っ!///あぁ。行ってくる」
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