記憶喪失

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「ふぅ………ごちそうさま」 お粥とフルーツを一通り食べ終わると、夜弥という執事からティッシュを貰った。 「ありがとう」 口元を拭いた後、手を組んで上に伸ばした。 身体が訛っているのだろう。 ちょっと動くのが億劫だ。 「瑠斗様」 「ん?」 「基本的な自分の情報はお分かりになられているようなので、まずは月白家のことから話しましょう」 「わ、わかった」 サイドテーブルに置いたカードを1度見て、再度僕の方に目線が向いた。 ………これは長くなりそうだな。 「────と、言うことです」 「なるほど………」 聞き終える頃には再び眠気が襲ってきたが、頑張って最後まで夜弥の話を聞いた。 月白家にとどまらずこの学園の事や友人関係など細かなことまで教えられた。 ざっくりとだがどんなことを聞いたかまとめてみよう。 まず、月城家だ。 (字が違うのはすぐに分かる) 有名な和菓子店で、全国でその名を知らぬ人はいないくらいの名家だ。 洋菓子で溢れる中、今も続く月城和菓子店。 今の当主は子供に恵まれず、養子を迎え入れた。 そう、それが僕だ。 養子としてこの家にやってきたのは3歳頃で、まだ喋ることが出来ない赤ん坊だった。 しかし3年後の6歳になった時、当主の妻が男の子を産んだ。 血の繋がった跡継ぎが生まれたことで一族は大喜び。 そして、僕の存在はいらなくなった。 僕は当主の弟の家に預けられ、今は月白という名字を名乗っている………のだそうだ。 思ったよりも厄介な立ち位置に僕はいるようだ。 でもその弟というのはこの学園で偉い立場にいるそうだ。 なんでも理事長をしていて、僕のことを溺愛しているとか。
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