記憶喪失

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理事長繋がりで学園のことも少し説明しよう。 この学園は男子校の全寮制で、エスカレーター式。 幼等部から高等部まであり、森の山奥にあるそうだ。 全校生徒は数しれず。 そしてそんな山奥にありながら、ここ病院も学園の敷地内だそうだ。 学校や病院だけでなく、色々な娯楽施設が立ち並んでいるようだ。 確かに娯楽がなきゃこんな山奥にいないか。 まぁ、あとはおいおい説明していけばいいだろう。 考え事が終わったのを見計らったように、夜弥はスリッパを出した。 「朝食が終わったら診察室に来るようにと先生から伝言を預かっています。少し長話がすぎましたね。早く行きましょう」 「わかった」 ベッドからゆっくりと立ち上がり、フラフラとした足取りで扉に手をかける。 「瑠斗様、まだ足取りがおぼつかないようなので車椅子を用意致しますか?」 「ううん、大丈夫。自分で歩きたいんだ」 「承知しました」 僕がそういうと夜弥は手を出てきた。 「さ、手を繋いでください。転ぶ心配はなくなりますから」 ……なんとも恥ずかしい。 でもしょうがない。 一瞬躊躇ったが、すぐに夜弥の手をとった。 夜弥が扉を開け、広い道をゆっくりと進む。 だが、少ししか歩いていないのに疲れて、夜弥の方を向くと、困った顔をした。 「だから車椅子をと思ったのですが……」 「う、ごめん」 「仕方ありませんね」 夜弥はそう言うと、僕を抱き上げた。 「………へっ?」 何故かおんぶなどではなく、お姫様抱っこだった。 「ちょっと、夜弥」 「なんでしょうか?」 「さすがにこれは……///」 「致し方ないことです」 「それはそうなのかもだけど……周りの視線が痛い」 そう。ここは病院だ。 入院している生徒など少ないと思うが、看護師が通りかかるとこちらを見て頬を赤らめる。 「もうすぐですから我慢してください」 羞恥心に耐えていると、夜弥はひとつの扉の前で止まった。
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