我が家(アパート)

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我が家(アパート)

「っいしょっーとっ」  自室まで運んできたリウムをとりあえずソファーに下ろした。  いやあー、ひっさびさにこんなきつい運動をした気がする 「おっ、なにこれ。柔らか〜」  ぎしぎしとソファが悲鳴を上げている  ちょ、その重さでソファの上でハネないで! それお気に入りのやつだから、 「ストップリウム!」 「何よ楽しかったのにー」  いや、それは止まってからいうセリフでしょ なんならさっきより激しくハネてないです? 「とりあえず止まって、壊れるから」 「むぅ」  よし、とりあえず止まってくれた。顔はまたフグみたいに膨らんでいるが、 「よし、いい子だ」 「へへぇ」  おっ、意外とちょろいか?にしても顔だけ見るとやっぱ可愛いよな。まあ下半身がそれを台無しにしてるけど、 「早速だけどリウムの部屋を決めます」  とは言っても空いてる部屋は一つしかないのだが、 「ハイ!隊長!」  海の中にも敬礼ってあったんだな。 「では早速発表します!ドゥルルル」 「わくわく」  わくわくって口に出す人初めて見たよ。まあ、人と呼んでいいのか微妙だけど、 「ででん!こちらです」  俺は空いている部屋の扉を大袈裟に開けた 「おぉー、玩具箱の中身みたい」  えぇまあ物置にしてる部屋ですし。 「でもこのままだと私の寝るスペースなくない?」  ハイ、分かっておりますとも 「なのでこれからお片付けをしましょう」 「え、私もやるの?」 「自分の部屋を自由にカスタマイズするのさ 俺はその手伝いをする。いい考えだろ」 「なるほど」  半分冗談のつもりだったんだが、そんなに目をキラキラされるとなんか騙した気になってしまう。  もしかしかしてこの子すごい純粋?あまり冗談とか言わないほうがいいかな? 「じゃあ早速、カスタマイズ開始!」 「いえっさー」  リウムはビチビチと床を叩きながらこちらへ向かってくる  あ、 「まった!」 「今度は何?」 「リウムは指示役、いや監督に任命する!そこから指示を出してくれ」 「おお、カントク!おっけーまかせろい」  ほっ、良かった。なんの対策もしないまま彼女に部屋の中を動かれたらやばい。  …あれ?何回か床割れてね? 「 イト、カイト!」 「あ、はい」 「なにボーッとしてるの、とりあえず箱を片付けて」 「はい!監督!」  とりあえず部屋片すか、  10分程で片付けは終わった  まあ、ほとんど押し入れに突っ込んだだけなのだが、 「どうでしょう監督?」 「おっけー、とりあえず良さげ」  よし、じゃあお終い! 「後は足りないものを足すだけね」  あ、やっぱ人魚だし海っぽいものとか欲しいんですかね? 「足りないものって?」  なにを欲しがるのだろう? 「コレ」  ん、どれ? 「今私が座ってるやつ」 「ソファの事?」 「これソファっていうの?」  バシバシっ  ちょ、確認ではたくのやめて! 「そうだけど」 「じゃあソファ、コレがまず第一」  第一?お気に入りのソファを持っていこうというのにさらに求めると? 「後は水気」  急に人魚感出してきたな、てかソファより優先順位低いのかよ 「とりあえずその2つかな、」  水気はまあいい、ビニールプールでも買ってこれば済むだろう。問題はソファ、この家の1番のお気に入りをどうするかだ。  ソファに視線を向ける  お気に入りののそれは至るところが破れ、棉がはみ出していた。  恐るべし鮫肌!  仕方ない、諦めるか 「分かった、だが水気はちょっとまってくれ。とりあえず風呂で我慢してくれ」  うちにビニールプールなんてないからな 「風呂ってなに?」  いまいち人魚の知識の幅がわからんな。普通に簡単な英語とかは伝わるのに、風呂が通じないとは。ずっと水の中で暮らすからか? 「人間の水浴び場みたいなものかな」 「水が出るならおっけー」  グッと指を立てるリウム  話もまとまったところで早速ソファを運びますか。 「よし!ソファ運ぶぞ、危ないから動くなよ」  ソファの手前で横たわっているリウムに念を押す。行動読めないからなあ、この子 「いえっさー監督」  おっと、いつの間にか立場逆転。でもないな実働も俺だし  俺はボロボロになったソファをリウム部屋へと運び込んだ。 「よし!完成だ」 「ないすだ、カイト!」  ひとまず急ぎやらなければならないことは終わったな。流石にリウムと同じ部屋で寝るのは気が引けたし。 「よし、じゃあ飯の準備するか」  外はすっかり暗くなっていた。俺は八百屋で買った野菜と、冷蔵庫にしまっておいた豚肉で肉じゃがを作る準備へと取りかかった。  リウムはソファに留まるように言いつけて、
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