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そうえば、水気与えなくて大丈夫かな?とりあえずコップ一杯分の水でも持ってくか、と思っていたのだが、
ベシッベシッ
この音は、
「カイトー」
やっぱりだ、ソファでおとなしくしてるように言っておいたのに、
「なんでここいるんだリウム?」
もしかしたら水分不足だったのかもしれない
だとしたら、まあ、俺の責任でもあるが、
「暇だったから」
ですよねー
「リウム、もう少し優しく動けないのか?」
「?」
サメも首を傾げているせいで、顔の角度が90度傾いているリウム。美しい金髪が地面に触れている。というかバランス感覚どうなってるの?それ?重心どこ?
「ハネるのをもう少し抑えるっていうか、その
周りを傷付けないように動けない?」
顔を地面と水平方向に維持したまま、手をポンっとして分かったようなそぶりを見せる。
なんか地面がどっちか分からなくなってきたぞ
「おっけー、気をつける」
ほっ、取り敢えず多少は改善されるらしい
「ところでさ、何してるの?」
体を真っ直ぐに戻しながらリウムが尋ねてくる。良かった、俺の立ってるところは地面で間違えないようだ
「料理だよ」
「りょうり?」
海の中では料理がなかったのか、まあ火なんか使えないしな
「食材を組み合わせたり、加工したりして美味しくすることだよ」
「ほー、楽しそうだね」
目をキラキラさせちゃって、少し見学させてあげるか、
「私もやらせて」
おっと、素晴らしい行動力
「いきなりやるのは危ないから、今回は見るだけにしないか?」
すんなりいうことを聞いてくれればいいが、
「おっけー」
意外にもすんなりいうことを聞いてくれた。さっきもそうだったし根はいい子なのかな?
「じゃあ取り敢えず、残りの野菜を切ってくぞ」
リウムは首を何回か縦に振った。ブンブンと音が鳴る勢いで。
トントントンっ
俺は一通りの野菜を切り終えて、フライパンを熱し始める。その後油をしき、肉を炒め始めた時
「ふおっ!」
肉の焼ける音にリウムが反応した。何かが焼ける音を聞いたのが初めてだったのだろう
「カイト、なんかジューってしてるぞ。」
「ああ、これで美味しくなるんだよ。ってストップ」
リウムの手がフライパンに向かってすゆっくりと伸びてきていた。まさか熱せられたフライパンに手を突っ込もうとするとは。
「なんだよ、ケチケチするなよー」
やっぱり危険度が分かってないな、この子
「本当に触りたいのか?」
どうですこの低音ボイス、なかなか怖さが出ているでしょう
「な、なんだよ急に、」
効果覿面!怯えているぞ
「よーく見てご覧、これがこうなっているんだよ?」
俺は焼けた肉を箸で掴み、焼けてない肉と比べて見せた
「ど、どういうことだ?何故こんなにも見た目が変わっているんだ、、」
「どうしてだろうなあ?」
ジュー
俺は焼けてない肉をさらにフライパンで焼きながら、笑いかける
「もしかして、私は恐ろしいことを」
口を開けて怯えているリウムの口に先程焼けた肉を放り込む
「ふむっーっっ」
あれ、そんな熱かったかな?
「何これ美味しい!」
良かった期待通りのリアクション
「そしてあったかいだろう?」
「うん!」
「じゃあこっちは?」
ラップ越しの生肉の方をリウムに触らせる
「あったかくない!」
「そういうことだ、これは物をあっためる為にすごく熱くなるんだよ。触ればどうなるか分かったか?」
「なんとなく!」
まあ、分かってくれたならいいか、
その後、俺は料理を完成させてリビングへと運んだ。あとリウムも。肉じゃがに白米にインスタントの味噌汁。まあ一人暮らしならこんなもんだろって感じの晩飯
「完成だぞ!」
「おおー」
そうえばリウムって普通の飯で良かったのかな?喜んではいるけど、、
「なあ、リウムってさこういうの食べれるの?
「問題ないと思う、さっきカイトに食わされたのも普通に美味しかったし」
ああ、そうえばさっき焼いた肉食わせちゃったな。今度から気をつけないとだな
「そうか、じゃあ一緒に食うか」
「もち!」
こうしてリウムとの初めての晩飯がスタートした。そうえばリウムって箸使えるのか?
グサっ
リウムは箸を握りしめ、じゃがいもに突き刺した。
やっぱそうなるか
「ちょっと待ってろ」
「何を?」
「フォーク持ってくるから」
「これじゃダメなの?」
「マナー的ににな」
俺はフォークをキッチンから持ってきてリウムへと渡して、隣に座った。
ソファがなくなって地べたに座ってるせいか机が高く感じる。
食事がてら、いくつか聞いておきたいことがあったが、あまりにも美味しそうに、楽しそうに食事をするもんだからこちらから質問を投げかけることはなかった。まあ、明日は休みだし焦ることもないだろう。
「もうないの?」
食器を片しているとリウムがそう聞いてきた
明日の分も作っておいたつもりの肉じゃがはすでに空になっている。
見かけによらず結構食べるな、、いや前言撤回、見た目通りです。座ってたんでサメのこと忘れてました。
「米ならあるけど」
「この白いやつだよね?」
「ああ」
「ちょーだい!」
これは、食費がエグいことになりそうですね
まあ、おやっさんに頼るか
「ちょっと待ってな」
軽く手を洗い、ジャーの中で食べ頃が保たれている白米を全てお椀によそう。山盛りの米に添えられたスプーン。桜田夫でもかければ、かき氷に見えなくもないな。
「お待たせ」
「おまたされ!」
白米一つでここまではしゃいでもらえるとは
さっきの肉じゃがと言い、美味しそうに食べてくれると作った方としても嬉しいものです。お米は炊いただけだけど、
「ごちそうさまー」
お、満腹になったのか じゃあ残った分を、
って空になってる 明日の昼ように多めに炊いた分も全部よそっといたのに
「満足したか」
「大満足だよ」
なら、まあいいか
普段であれば後は風呂に入って眠りにつくだけなのだが、
リウムってどうやって眠るんだ?
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