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腕時計を確認すると出勤時間の5分前。
ちょうどいい時間に到着した。
先にタクシーを降りてタクシーの料金を払っている社長を待つ。
降りてきた社長と腕を組み、お店の扉のへと行く。
扉を開けるとカランっと軽やかにドアベルが鳴る。
ちょうど扉の近くにいたらしい店長がドアベルの音に振り返ると、私をみて安堵の溜息を吐き、すぐにいつものにこやかな営業スマイルで篠宮社長に挨拶をする。
そんな店長とお店の雰囲気がいつもと違うことに首をかしげる。
「篠宮社長、いらっしゃいませ!お待ちしておりました」
「おう、今日もよろしく頼む……にしても、何かあったのか?」
「ええ……実は急遽オーナーがいらっしゃることになりまして」
「おお、今日はあいつも来るのか!」
「はい、なので今日は途中で真白をお借りします。申し訳ありません」
「おう、好きに連れてけ連れてけ。俺もオーナーには挨拶に行くと伝えておいてくれ」
「かしこまりました。ではお席へご案内しますね。真白は突っ立てないで早く着替えてこいよ」
私のことはお構いなしに二人で話して席へと行ってしまった社長と店長。
そういうことか、この店の空気。
オーナーが来るという事でみんないつもよりピリピリしている。
とりあえず、私も早く着替えてしまおう。
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