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「そうだね、君は良く言えば想像力豊かなのかもしれない」
ポラリスの言い種はまるで私の話す事は妄想だと暗に示していた。
だけどそんな事認めたくない私は足を止めることなく船を探し求めた。
「僕は君の為に言おう。それは独り善がりだ」
「独り?私が?今左手に温もりを感じている私が独りですって?」
「愛情は信頼足り得るからこそだと思うんだ」
じゃあポラリスのこの右手は虚構で、愛してあげたいと思う私の気持ちは一体なんだと言うの。
「何を感じるのか、何を求めるか、どう思うのか。全ての人間が等しいと考えるのはレベッカが持つ恐怖心…孤独が故なんだね」
“孤独”
突きつけられた嫌悪が思考も何もかも奪っていく。動き続けていた足は歩き方を忘れたように止まり、私は膝から崩れた。
私が可哀想と思ったのは私が孤独だったから。
私が愛してあげたいと思ったのも私が孤独だったから。
私が温もりを求めていたのも私が孤独だったから。
私をつくっていたもの全てが裏返しになり孤独が姿を現した。
「立つのは君だ。でも自分では支えにはなれない」
身体を打つ雨が一層強くなってポラリスの声は徐々に遠のいて行く。私は紡ぐ言葉が孤独に繋がりそうで声が出せなくなっていた。
私を覗き込むポラリスの顔は霞んでもなお美しく、やっぱり一緒に居たくて弱々しく腕を伸ばした。空を切る虚しさが頬を伝う水となり、私はまだ温もりを求めて独りになった。
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