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「レベッカの好意は嬉しいよ。君と居れば受け止めきれない程愛情をくれるだろうね」
彼の背中に回していた腕を静かに外される。
「えぇ、えぇ、だから早く島から出て…」
「でもそれは誰の為?」
雨音が急に強まり聴覚が鈍くなる。
耳にした幼いポラリスの口調も返事も、相応しくない。
聞き間違え?
だって、涙を流して頷き、手を繋いでボートに乗る。そして数時間後には暖かな家で二人で過ごすはずなのに。
「早く私が乗ってきたボートで家に帰ろう」
きっと親に優しくされたことがないから戸惑ってあんな事を口走ったのよ。
強引に手を掴んで浅瀬に入った。
「ボートなんて無いよ。ここは何処とも繋がってない孤島なんだから」
「独りになり過ぎて気が滅入っちゃったのね。ボートが無いとか、ましてや何処にも繋がってない海なんて有り得ないよ」
穏やかな波では大きなボートは流されない。浜辺に置いていたボートを探して島を歩いたけど何故かボートも船も筏さえも島には無かった。
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