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彼との思い出を思い出して、再び視界が滲んだ頃にガラリと教室の扉が開く音がした。
「やっぱり、ここにいたのか」
「友里、」
私の親友である彼女は、私に彼を紹介してくれた人だ。彼の訃報を知ったのだろうか、彼女の目にも涙が浮かんでいた。
私たちは何も言わずに両手を広げあって、抱きしめあっていた。
「一人で泣いてんなよ、馬鹿」
「だって、彼が、私の最愛の人が、あんなことになるなんて」
私は我慢することなく、友の胸を借りて思い切り泣いた。そんな私の頭を撫でて慰めてくれる彼女と言ったら、聖母マリア様かと思ってしまうような母性を感じた。
しばらく友の胸を借りて泣きに泣きまくった私の涙はひと段落したので、友の胸を返そうと背筋をピンッと伸ばした。
「もう、大丈夫なの?」
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