きみの心に寄り添いたい

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俺は小さく微笑み 「分かった。まぁ…俺も初めては兄さんだったから、お互い様って事で」 と呟いた。 すると複雑そうな顔をして 「未来の俺…ムカつく」 と呟いて俺の頬に触れると 「でも、今は俺だけの葵だ」 そう囁かれて唇を塞がれる。 首に手を回して目を閉じると、兄さんの舌が唇を割って俺の口内を犯す。 「んっ…」 上顎を舐められて、思わず声が上がる。 ゆっくりと唇が離れると、愛しそうに俺の髪の毛を撫でながら顎へと唇を這わす。 首筋から鎖骨、そして胸へと唇を這わせる。 「あっ…」 小さく上がる声に、思わず手の甲て唇を押さえると 「葵、その声ヤバイ」 そう言って口を押さえている手を掴むと、口を押さえた部分にキスを落とした。 (ちょっと…!中学生で、童貞なんだよね!) あまりの余裕にムッとしていると 「葵、怒ってるの?」 って、心配そうに俺の顔を覗き込む顔が可愛い…。 もう、その顔は反則だよ! 俺は両手で頬を挟んで、顔を真ん中に寄せてやった。 すると今度は中学生の兄さんがムッとした顔をして 「子供扱いするなよ!」 と言って、両手を頭の上で一纏めにされてしまう。 そのあとは…悔しいけど、翻弄されまくった。やっぱり中学生でも兄さんは兄さんなんだよな。 俺の事をずっと気遣って、決して一方的に抱いたりはしなかった。 「葵…愛してる…」 果てた後、兄さんはそう言って笑顔を浮かべてキスをするとギュッと抱き締めて 「葵に出会えて良かった」 そう呟いた。 「俺もだよ…翔」 そう囁いてそっと髪の毛を撫でると、中学生の兄さんはモゾモゾとして 「あの…もう一回シテも良い?」 って、真っ赤になって聞いて来た。 俺は一瞬驚いてから吹き出すと 「そういう時は、甘くキスをすれば良いんだよ」 と答えてキスをした。 抱き締められると、再び唇を重ねて身体を繋ぐ。 ほんのひと時でも、兄さんの孤独を埋められるなら…。 まだ幼い兄さんの身体を、俺は愛しさを込めて抱き締めていた。
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