お別れの時

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お別れの時

『PiPiPiPiPi』 次の日の朝、鳴り響く目覚ましに手を伸ばすと、俺の手に誰かの手が重なる。 驚いて顔を上げると、兄さんも驚いた顔でこっちを見た。 そしてふにゃりと締まりの無い笑顔を浮かべると 「葵、おはよう」 って、俺の頬にキスをした。 (くっそ!その笑顔、反則!) 心の中で叫んでいると、うつ伏せの俺の身体を抱き締めて 「大好きな人と一緒に朝を迎えるって、幸せだね」 なんて言ってるよ! 中学生の兄さんは天使か! 可愛すぎて、今度は俺が襲うぞ! そう思っていると、お尻に当たる硬いもの。 「翔君?」 恐る恐る振り返ると 「あ…これは朝の生理現象なので、お気になさらずに…」 って、真っ赤な顔してる。 クソ可愛い! 昨夜も散々やられたから、勘弁してくれって思ってたけど…。 お兄さん、頑張ってしまおうかと思っちゃうじゃないか! そう思っていると、ゆっくりと朝の元気な翔君が俺の中へと挿入って来る。 「ちょ……っと!生理現象なんだよね?」 叫んだ俺の背中に重なり、うなじにキスをすると 「葵がしても良いって顔してた」 って言いながら、一気に奥まで挿入した。 「あぁ!」 仰反る顎を掴まれ、唇を塞がれる。 「ねぇ…未来の俺とは何回シタの?どっちが快い?」 腰を動かしながら聞かれて 「バ…バカ!兄さんは、一日一回だよ!」 叫んだ俺に 「え〜!未来の俺って、不能なの?」 そう言われて 「違…う…、家族が増えたから…、そんなに出来ない……んぅっ」 上がる声を必死に堪えて答えた。 激しく揺すられ、もう、それ以上は会話にならない。 「こんなに葵の身体は魅力的なのに…」 容赦無く揺さぶられ、足を持たれて体位を変えられてガンガンと腰を進める。 「葵、ずっと此処に居ろ。未来なんかに…帰るなよ!」 そう言われて、その後はもう…ただひたすら喘がされた。 抜かずの二回戦を終え、ぜえぜえと息をしながら 「翔君!18歳の俺でも、昨夜の3発。今朝の2発はキツイよ!」 そう叫ぶと、中学生の兄さんは俺を強く抱き締めて 「じゃあ、未来に帰らないって約束しろよ」 そう呟いた。 俺は小さく微笑み 「それは約束出来ないよ。だって俺は、本当なら此処に居ちゃいけない人間なんだ」 と言って中学生の兄さんの身体を抱き締めた。悲しそうに顔を歪ませる中学生の兄さんの頭を抱き寄せて 「近い未来、必ず出会えるから」 そう囁くと 「嫌だ…。俺は、今の葵が良い。未来なんかどうでも良い」 縋り付くように抱き締める中学生の兄さんに、胸が締め付けられた。 「未来に戻るまでは、翔とずっと一緒に居るから」 そう呟く俺に、中学生の兄さんは口をへの字にして 「じゃあ…未来に帰るまで、葵は俺の恋人で居てくれる?」 そう言われて、俺は頷いた。 「もちろん。俺はずっと、翔の…翔だけの恋人だよ」 そう答えると、中学生の兄さんの唇が重なる。でもそれは、間も無く訪れる別れを予感していたのかもしれないと、後から俺は思うのだった。
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