幾つでも、やっぱり兄さんだ

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「あなたのような身の程知らずには、思い知っていただく必要がありそうですね」 そう言うと、田中さんがネクタイを解いて俺の腕を机に縛り付けた。 「何をするんですか!」 慌てて叫ぶ俺に 「何って…分かってるから、そんなに慌ててるんですよね?」 冷たい、氷のような眼差しに心が凍り付く。 顎を掴まれ 「可愛らしい顔をしているから、多少は楽しめるかな…」 ゾッとするほど冷たい声に鳥肌が立つ。 (怖い!…助けて!) 「そ…蒼ちゃんに言いつけてやる!」 「田中!止めろ!」 俺の声と中学生の兄さんの声が重なった。 田中さんがきょとんとした顔をして 「蒼ちゃん?」 と呟くと、頭から中学生の兄さんに水を掛けられていた。 「お前…俺の大事な客人に、何してくれてんだよ!」 怒っている中学生の兄さんに 「ですが翔さん!」 と田中さんが叫ぶと、田中さんの頬にビンタをしてから 「2度目は許さない」 そう呟いた。 その顔は、俺の知っている兄さんでは無かった。必ず来る未来、社長になるべく選ばれた人間が持つ風格と威厳のある強い瞳と雰囲気に圧倒的される。 中学生の兄さんは、唖然としている俺の腕を解くと 「葵、大丈夫か?」 と言って、俺をそっと抱き締めた。 俺がボロボロと泣き出すと、優しく俺を抱き締めて 「田中。お前、テーブルから落としたハンバーグを食ってみろ」 と中学生の兄さんが呟いた。 戸惑う田中さんに 「良いから食え!」 と叫ぶと、田中さんは床に落ちたハンバーグを口にして驚いた顔をした。 「これは…」 「味噌汁も、ハンバーグも…。全部お前の味だ。それが何を意味しているのか分かるか?」 中学生の兄さんはそう言うと 「この人は、未来からきた俺の弟だ」 そう言い切ったのだ。
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