きみの笑顔を守りたい

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「Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi Pi」 けたたましいベルの音。 一度おさまると、次は 「ジリリリリリリリリ!」 っと、違う目覚ましの音。 あまりの大きさに飛び起きて、兄さんの部屋に飛び込んだ。 布団を頭から被り、一つ目の目覚ましを止めた姿で寝ている。 …それにしても、このけたたましい目覚ましが鳴っている中、良く寝てられるな〜って思いながら兄さんの寝顔を見る。 中学生の幼い顔が可愛い。 けたたましい目覚ましを止めて、右手を一個目の目覚ましに乗せたまま眠る兄さんの寝顔を見つめた。 (寝起き…悪かったんだな…) ぼんやり考えながら、ベッドに腰掛けて布団から半分出ている頬に触れる。 俺の知っている兄さんは、いつの間にか起きて早朝ランニングして、素振りしている規則正しい生活をしている兄さん。 あそこまで自分を律している兄さんを凄いと思いながらも、何処かいつも完璧な人なんだと思っていた自分が恥ずかしくなった。 こんなに朝が弱いのに、自分で起きられるまでにどれくらい掛かったんだろう? 「翔君、起きて。ランニング行くんじゃ無いの?」 そっと身体を揺すると、顔を歪ませて頭から布団を被ってしまう。 待って!その仕草は可愛いけど、俺得が何も無い! せめて、その可愛い寝顔見せて! 今思えば変態じみた行為だが、俺は顔の部分の布団を剥がして覗き込む。 スヤスヤと可愛い寝顔の兄さん。 (ずっと見てられるかも…) 「翔君、起きないの?」 起こす気ゼロの優しい声で声を掛けると、目を擦って 「もう少し…」 って答えて、むにゃむにゃ口元をさせている。 ヤバい!鼻血出るかも。 可愛いが止まらないんだけど! 思わずスマホで中学生の兄さんの寝顔を激写。 カシャカシャ写メっていたら、中学生の兄さんが薄目を開けて俺を見ると、ギョッとした顔で起き上がった。 「何してるんだよ!」 俺の手からスマホを奪うと 「え?寝顔が可愛いから、俺の元気の活力にしようと思って」 そう言ってスマホを奪い返そうとすると、兄さんが俺の手を避けて画像を消そうとして手が止まった。 おや?って思ってその画像を覗くと、元の世界の俺と兄さんが頬をくっ付けて笑う写真が写っていた。 慌ててスマホを奪うと、中学生の兄さんの目が座っている。 そして俺の顔をジッと見て 「葵。俺とお前…本当に兄弟なのか?」 と聞かれてしまう。
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