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カフェにて#1
コーヒーとミルクが描く不思議な模様。それに見惚れてから、カフェオレを飲む様になった。
真っ暗な液体に描かれる白い模様。それは『マーブル模様』とも言われるが、マーブルの意味を調べると『大理石』の事らしい。
「せっかく調べたのに、損しちゃったじゃない」
一人で訪れたカフェ。その机に置かれたグラスを眺めて、梓は呟いた。もっと不思議な、聞いた事の無い何かを期待していたのに……。
ミルクが描く世界は、いつも世界に一つだけ。いつまでも続いて欲しいと願うのに、それはあっという間に沈んで行く。
スプーンで掻き混ぜると、それはベージュ色に変わり、見慣れた液体へと変化した。
溶け合う時だけ見れる不思議な液体に、名前は無い。そして、それは元には戻らない。
──いつも、最後はこうなって来た。
口にすれば優しい苦味と共に、遠い日の記憶がよみがえる。今日は少しシロップを混ぜて、そんな昔を振り返る事にした。
カフェオレはいつもより甘い。思い出にもシロップを混ぜれたら……そんな事を考えると、グラスの氷がカランと鳴った。
あれは小学生の頃、まだコーヒーを口にした事のない、幼い頃の思い出だ。
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