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19話
気持ちを自覚してから1週間。
今まで通りにと思えば思うほど、隠さなくちゃと必死になればなるほど、逆に意識してしまって上手くいかない。
亜門さんに変に思われていないといいんだけど。
この数日、妙に視線を感じるような気がするんだよね…。
「…なぁ。」
「っ…!?」
び…びっくりした…!
危うくお皿落とす所だった…。
こんな高そうなの、割ったら大変。
亜門さんが近くに来てるなんて、全然気付かなかった。
「何やってんだよ、危ないだろ。…気を付けろよな。」
「すみません…。何か用事でした?」
「ああ。さっき朝食の時に言い忘れたけど、今日はアトリエでの練習に付き合わなくていい。」
昨日までそんな事言ってなかったのに。
急な仕事でも入ったのかな。
「ちょっと1人でやりたい事があるから。」
「分かりました。お弁当はどうしたらいいですか?」
「部屋の入り口に置いといて。」
それだけ言うと、早々にアトリエへと向かうらしい亜門さんを見送る。
こんなに早い時間からアトリエに行くなんて、初めてかも。
1人でやりたい事か…仕事なら仕事って、亜門さんなら言いそうだけど。
それに、あの言い方だと今日だけって感じだったし、絵って一日で描けたりするかな?
「…私が気にしても仕方がないか。」
余計なこと詮索しないで、家政婦としてやることやらなきゃ。
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