19話

3/3
1195人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
亜門さん、遅いな。 「もう21時か。」 もしかして、今日は帰ってこないとか…? 夕食作っちゃったのに…。 あの女の人と一緒なのかな。 「あ~、もう!そんな事考えたくないんだって!」 思わず声に出してしまったのとほぼ同時に、玄関のドアが開く音がした。 聞かれなかったかと、ビクビクしながら玄関まで出迎えに行くと、亜門さんの息が少しだけ上がっているのが分かった。 どうしたんだろう。 まさか走って帰って来たとか? 「悪い、予想以上に時間がかかって遅くなった。」 「お帰りなさい。夕食すぐに準備しますね。それと、あの…食べ終わってからでいいので、少し時間を頂けませんか?」 「時間?」 「亜門さんに、話したい事があるんです。」 「話したい事?何?」 「食べ終わってからで大丈夫です。…大したことじゃないので。」 「…分かった。じゃあ、先に風呂に入ってくるから。」 「分かりました。」 これでいい。 きっと亜門さんだって、止めたりはしないはず。 急に住み込みって言いだしたのだって、特に理由はないみたいだし。 家政婦の仕事は続けるって言えば、亜門さんだって納得するよね。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!