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亜門さん、遅いな。
「もう21時か。」
もしかして、今日は帰ってこないとか…?
夕食作っちゃったのに…。
あの女の人と一緒なのかな。
「あ~、もう!そんな事考えたくないんだって!」
思わず声に出してしまったのとほぼ同時に、玄関のドアが開く音がした。
聞かれなかったかと、ビクビクしながら玄関まで出迎えに行くと、亜門さんの息が少しだけ上がっているのが分かった。
どうしたんだろう。
まさか走って帰って来たとか?
「悪い、予想以上に時間がかかって遅くなった。」
「お帰りなさい。夕食すぐに準備しますね。それと、あの…食べ終わってからでいいので、少し時間を頂けませんか?」
「時間?」
「亜門さんに、話したい事があるんです。」
「話したい事?何?」
「食べ終わってからで大丈夫です。…大したことじゃないので。」
「…分かった。じゃあ、先に風呂に入ってくるから。」
「分かりました。」
これでいい。
きっと亜門さんだって、止めたりはしないはず。
急に住み込みって言いだしたのだって、特に理由はないみたいだし。
家政婦の仕事は続けるって言えば、亜門さんだって納得するよね。
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